6月14日(日) 晴のち雨
 
山が遠くから
人の心をとりこにする。
 
人がその心を
さがしにゆく。
 
つまり
身体ごととりこになる。
          (吉野弘『山が』)
 
『苦しむ』という言葉の対義語として
『楽しむ』という言葉を選ぶとするならば
『理解に楽しむ』とでも言いましょうか。
 
人のある言動に至る思考過程を
分かる
などとは、恐れ多くて言えませんが
理解に楽しむ
くらいなら許されるでしょうか。
それは、幸福な体験です。
 
話は変わりますが
以前、私は、電車で年配の方に席を譲る
ということができませんでした。
座っていたいからというのではなく
その、席を譲るという
あまりにも素晴らしそうな行為に
気恥ずかしさが先立って
躊躇っているうちに
タイミングを逃し
こんなことなら始めから座らなければ良かった
と思いながら
自己嫌悪とともに駅に降りることを
繰り返している時期がありました。
 
しかし、ある日
電車で席に座ってうつらうつらと眠っていて
ふと、目を覚ますと、目の前に
年配の方が立っていて
考えるより先に反射的に立ち上がってしまい
そのまま勢い余って
「どうぞ」
とまでも言えてしまい
困惑する私を他所に
すっぽりと老紳士が座席に納まるのを見て
以来
平常心で、当然のように
かつての自分の感覚を忘れたかのように
席を立てるようになりました。
 
そんなふうに、あっけなく
今、こねくりまわしているものも
乗り越えられたらいいのになぁと思うのです。
 
今日のお夕飯は
鯖の味噌煮
枝豆
湯葉
青梗菜と海老のサラダ
アップルマンゴー