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2月29日(金)閏日 晴
「料理の話なんていいじゃない。食べておいしければそれでいいの。熊谷守一、熊谷守一」
と少年は駄々っ子のようにいった。
「おいしい料理に楽しい会話だな。もう極楽じゃ」
藤三は上機嫌だった。
「よし、よし。翔太郎に代わって、熊谷守一の話を、わしが今少し、つづけてみようか」
(灰谷健次郎 『風の耳たぶ』より)
先日、おそらく生まれて初めてガチャガチャを経験しました@埼玉県立近代美術館
左奥がブルータス、右手前がマルスだそうで
200円で石膏デッサン入門ができます。
驚異的な忘却力を持つ私が思いがけず、記憶の断片を拾い当てたので
その驚きのはずみで熊谷守一展を見に遥々埼玉まで行った際の戦利品です。
美術館は手軽に非日常が味わえて
うっかりするとひどく落ち込まされたりもしますが
上手く利用すれば、とても良い気分転換になりますね。
そんな目的意識を持って出掛けるわけではありませんが
美術館、好きです。
「藤三さんの話をきいていて、おれ、なんだか、今すぐにでも、なにかやりたくなった。なにか、すごく勇気をもらったような気がする。
生きることがおもしろくなった。そう思ったんです」
(灰谷健次郎 『風の耳たぶ』より)